07 May 2020

2020年 国内企業の情報セキュリティ実態調査を発表

Japan, 2020年5月7日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、2020年1月に実施した、国内企業878社の情報セキュリティ対策の実態調査結果を発表しました。

調査対象企業に対して2019年度(会計年)の情報セキュリティ投資の増減率を調査した結果、2018年度(会計年)と比べ「投資を増やす」と回答した企業が36%となり、「投資を減らす」と回答した企業10%を上回りました。また、2020年度(会計年)の情報セキュリティ投資見込みでは、2019年度を上回るとした企業は全体の38%、下回ると回答した企業は9%でした。そして、2020年度の情報セキュリティ投資を増やす企業は、ネットワークセキュリティとアイデンティティ/アクセス管理、クラウドセキュリティを投資重点項目としている企業が多いことが判明しました。しかし、6割近くの企業では、セキュリティ予算はきめられておらず、計画的なセキュリティ投資がなされていません。一方、セキュリティ部門の幹部がリーダーシップを持ち、経営層がセキュリティに対して積極的に関わっている企業ほど、セキュリティ投資は予算化されています。経営層が自社のセキュリティ対策に積極的に関わる企業ほどセキュリティ予算をしっかりと確保しており、セキュリティ責任者は経営層にセキュリティ対策の現状を理解させることが必要であるとIDCは考えます。

今回の調査では、脅威管理、アイデンティティ/アクセス管理、セキュアコンテンツ管理など12項目の情報セキュリティ対策について導入状況を尋ねました。国内企業におけるセキュリティ対策の導入は外部からの脅威管理の導入が進んでいますが、情報漏洩対策やデータ管理など情報ガバナンス対策の導入は遅れています。また、クラウドサービスを利用している企業では、クラウド環境でのマルウェア感染とサイバー攻撃によるシステム破壊やデータ消失を懸念している企業は多いですが、3~4割の企業はクラウド環境でのデータの暗号鍵管理やバックアップをサービス提供事業者に任せています。クラウドサービスの利用においては、サービス提供事業者とのセキュリティ対策の責任分担を明確にし、暗号化鍵管理やバックアップといったデータの取り扱いについてはユーザー企業でも責任を持って運用管理することが必要であるとIDCは考えます。

直近の1年間でセキュリティ被害に遭った企業は全体の54%で、その内42%の企業がランサムウェア感染の被害を受けています。ランサムウェアに感染した企業の半数以上が、バックアップファイルもしくはセキュリティベンダーからの暗号化ツールの入手で復旧しています。またセキュリティシステムでインシデントを検出した企業は半数程で、顧客やパートナーからの通報によってインシデントを発見した企業は2割程度であり、セキュリティシステムだけで全てのインシデントを検出できる状況ではありません。そして、前回調査(2019年4月)と比較すると、セキュリティ被害を発見してから収束するまでの時間は長期化し、復旧や賠償金などにかかった費用は増加しました。セキュリティ被害が起こることを前提に、被害の発生を早期の検知し対処できるセキュリティ製品の導入と組織体制の構築が被害を最小限に抑える対策になるとIDCは考えます。

また、直近1年間に発生したインシデント件数とセキュリティ投資金額および前年度に対する2020年度のセキュリティ投資増減の分析を行いました。その結果、インシデント件数の多い企業ほどセキュリティ投資金額が大きく投資意欲が高いが、件数が少ない企業ではセキュリティ投資金額が小さく投資意欲も低いことが分かりました。インシデント件数の多い企業は、セキュリティ投資金額の大きい企業が多く、先進的なセキュリティシステムの導入によって早期にインシデントを検出できるためインシデント件数は増加し、そのインシデントを封じ込めるためにセキュリティ投資を増やす傾向が強いと思われます。一方でインシデント件数が少ない企業は、セキュリティ投資金額が小さく、先進的なセキュリティシステムの導入がなされていない企業が多く、インシデントが潜在化している恐れがあると考えます。「インシデント件数が少なくても、先進的なセキュリティシステムを導入しインシデントを洗い出し、そしてリスクアセスメントなどによって脆弱な部分を特定し、脆弱性を早期に無くしていくことが重要であり、セキュリティ投資は脆弱な部分を減らしリスク低減していくことに投資していくべきである」と、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーである登坂 恒夫 は述べています。

今回の発表はIDCが発行した2020 年 国内情報セキュリティユーザー調査:企業における対策の現状IDC Survey Spotlight: 2020 年 国内情報セキュリティユーザー調査 にその詳細が報告されています。本調査レポートでは、2020年1月に実施した情報セキュリティ対策の導入実態調査の結果に基づき、国内の企業(官公庁を含む)の情報セキュリティ対策の導入実態と今後の方向性について分析を行っています。調査内容には、情報セキュリティ投資、情報セキュリティ対策導入状況、情報セキュリティサービスの利用状況、個人情報保護法や情報漏洩対策に代表されるコンプライアンス強化への企業の取り組みなどが含まれます。



<参考資料>

2013年度(会計年)~2020年度(会計年)の前年度に対する情報セキュリティ投資増減率

Source: IDC Japan, 5/2020

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