13 Jan 2021

2020年上半期国内情報セキュリティ市場予測を発表

Japan, 2021年1月13日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、2020年上半期までの実績に基づいたソフトウェアとアプライアンス製品を含めた国内の情報セキュリティ製品市場とセキュリティサービス市場の2020年から2024年までの予測を発表しました。これによると、2020年の国内情報セキュリティ製品市場において、ソフトウェア製品の市場規模(売上額ベース)は前年比7.0%増の3,035億円で、その内SaaS(Software as a Services)型セキュリティソフトウェアの市場規模(売上額ベース)は前年比25.8%増の497億円と予測します。セキュリティアプライアンス製品の市場規模(売上額ベース)は前年比3.9%増の565億円と予測しています。また、2020年の国内セキュリティサービスの市場規模(支出額ベース)は、前年比3.9%増の8,666億円と予測しています。

2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、国内経済が低迷するものの、メール攻撃で利用されるマルウェア「Emotet」や身代金要求型マルウェアであるランサムウェアなど複数のマルウェアを組み合わせた高度なサイバー攻撃の被害が継続的に発生していることや、職場勤務から在宅勤務へと大規模なリモートワークへの移行で、在宅勤務で利用するクライアントPCでのマルウェア感染や企業ネットワークへの侵害、クラウドサービスへの侵害など新たなセキュリティリスクへの危機感が高まっていることなどから情報セキュリティ製品市場やセキュリティサービス市場への需要は継続して高い傾向にあるとみています。大規模なリモートワークによってVPN(Virtual Private Network)接続が増加したことからFirewall/VPNとUTM(Unified Threat Management)への需要は拡大しましたが、大規模なVPN接続によるネットワークの逼迫やレスポンスの低下など業務効率の劣化、VPN機器の脆弱性を狙った攻撃による認証情報の流出事件などVPN接続での問題が顕在化しました。VPN接続をせずにインターネット回線から直接クラウドサービスに接続するには、クラウドサービスへのアクセスコントロールの強化やアクティビティの可視化、情報漏洩対策などクラウド環境に対するセキュリティ対策が求められることから、SaaS型セキュリソフトウェアへのニーズが高まっています。特にリモートワークの普及によるクラウドサービス利用が拡大していることで、クラウドサービスへのセキュアなアクセスコントロールを実現するアイデンティ/デジタルトラストへのニーズが急速に高まっています。またセキュリティサービスでは、在宅勤務で利用しているクライアントPCなどのエンドポンデバイスに対するセキュリティ監視を行うマネージドセキュリティサービスやMDR(Managed Detection and Response)サービスへのニーズが高まっています。

2021年以降も在宅勤務を継続する企業は多いとみており、リモートワークの普及が拡大すると考えます。リモートワークの普及拡大と政府のデジタル化推進によって、企業でのDXも進展し、オンプレミスのIT環境はクラウド環境へと移行が加速すると思われます。また、EU 一般データ保護規則(GDPR)など海外のプライバシー法や2020年6月に改正法案が可決、成立した個人情報保護法、米国政府調達における管理すべき重要情報(CUI:Controlled Unclassified Information)の保護に対する政府以外の企業や組織に適用されるセキュリティ対策基準「NIST SP800-171」などプライバシーデータを含めデータ保護規制が厳しくなっており、情報ガバナンスやコンプライアンス対応への強化が求められます。そして、2021年の東京2020オリンピック・パラリンピックでの標的型サイバー攻撃の多発が見込まれ、標的型サイバー攻撃によるセキュリティリスクが高まります。このような背景から、国内セキュリティソフトウェア市場は、セキュアなアクセスコントロールに対するアイデンティティ/デジタルトラストや高度サイバー攻撃に対するエンドポイントセキュリティ、クラウドサービスへのセキュリティに対するWebコンテンツインスペクションを中心にニーズが高まり、2019年~2024年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は6.0%で、市場規模(売上額ベース)は2019年の2,837億円から2024年には3,798億円に拡大すると予測します。また、国内SaaS型セキュリティソフトウェア市場は、クラウド環境へのセキュリティニーズが高まり、2019年~2024年におけるCAGRは18.3%で、市場規模(売上額ベース)は2019年の395億円から2024年には915億円に拡大すると予測します。一方で、国内セキュリティアプライアンス市場は、2020年の大規模なVPN接続での問題が顕在化したことで、インターネット回線から直接クラウドサービスへ接続する利用を許可する企業も増え、VPNへの需要が低下するとともに、IT環境のクラウドシフトが加速することで、セキュリティアプライアンス市場への需要は減速し、2019年~2024年におけるCAGRはマイナス1.1%で、市場規模(売上額ベース)は2019年の544億円から2024年には514億円に縮小すると予測します。そして、国内セキュリティサービス市場は、クラウド環境に対するセキュリティ構築サービスや、マネージドセキュリティサービスやMDRサービスといったセキュリティシステム運用管理サービスへの需要が高まり、2019年~2024年のCAGRは3.4%で、市場規模(支出額ベース)は2019年の8,340億円から2024年には9,843億円に拡大すると予測します。

COVID-19の感染拡大による大規模な在宅勤務からのVPN接続による企業ネットワークへのリモートアクセスで、企業ネットワークの逼迫によるレスポンスの遅延など業務効率の劣化、そしてVPNの脆弱性などVPNの問題が表面化しました。その問題を解消するためにインターネット回線から直接クラウドサービスに接続する利用が増えることで境界防御の限界が顕在化し、境界防御に依存しないセキュリティ対策が求められます。そのため、クラウドサービスにアクセスするデバイスに対するエンドポイントセキュリティ、デバイスのセキュリティ状態やユーザーの利用時間や利用場所などのコンテキスト情報を含んだID管理によるセキュアなアクセスコントロール、クラウド上のアプリケーションやデータの利用状況の可視化と防御、情報漏洩対策など様々な機能を持った総合的なセキュリティ対策が必要となり複雑化します。「ITサプライヤーは、総合的なセキュリティソリューションの機能を集約し一元的に管理、運用できる集約型のSaaS型セキュリティリューションを訴求すべきである。これによって、企業はインターネット回線経由で直接クラウドサービスを利用した場合においてもセキュリティが強化され、業務効率と運用効率の向上を図れる」と、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーである登坂 恒夫 は述べています。

今回の発表はIDCが発行した国内情報セキュリティ市場予測アップデート、 2020 年~ 2024 年: COVID-19 で進展する SaaS 型ソリューション にその詳細が報告されています。本レポートでは国内情報セキュリティ市場をソフトウェア市場とアプライアンス市場のセキュリティ製品市場と、セキュリティサービス市場に分けて、2020年~2024年の市場予測を提供しています。



<参考資料>

国内情報セキュリティ市場 製品セグメント別 売上額予測、2017年~2024年



Notes:

・セキュリティソフトウェア市場予測は、2020年11月時点における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響および見通しを考慮したものである

・セキュリティアプライアンス市場予測は、2020年9月時点における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響および見通しを考慮したものである

Source: IDC Japan, 1/2021

Coverage