30 Mar 2021

2020年 国内サーバー市場動向を発表

Japan, 2021年3月30日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1-13-5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、2020年通年の国内サーバー市場動向を発表しました。2020年の国内サーバー市場全体の売上額は4,943億円で、前年から4.1%減少しました(図1)。出荷台数は44万6千台で、前年から13.5%減少しました。

2020年の国内サーバー市場は、売上額が前年比マイナス成長となりました。売上額がマイナス成長になるのは、2016年以来4年ぶりです。x86サーバー(注1)とメインフレームがともに、前年比2桁のマイナス成長となりました。一方、その他のサーバーは、スーパーコンピュータ「富岳」の出荷(注2)などが牽引し、3桁のプラス成長となりました。その他サーバーの高成長により、国内サーバー市場全体のマイナス成長を1桁台に留め、下支えしました。「その他のサーバー」とは、「ARMサーバー」、「RISCサーバー」、「IA64サーバー」、「ビジネスサーバー」の総称です。

x86サーバーは、売上額が前年比11.4%減の3,712億円でした。4年ぶりのマイナス成長となりました。出荷台数は、前年比15.4%減の43万3,300台でした。2年連続のマイナス成長となりました。x86サーバーのうち、Standard Server(注3)は、売上額が前年比13.3%減の3,119億円、出荷台数が同19.0%減の35万2,800台でした。Custom Server(注3)は、売上額が前年比0.1%減の593億円、出荷台数が同4.9%増の8万500台でした。

Standard Serverは、ITサービス、文教、ヘルスケア、官公庁、流通などで大口案件がありましたが、前年にあったMicrosoft Windows Server 2008サポート終了にともなうサーバー更新需要(注4)や、店舗用途などの大口案件の反動で、売上額、出荷台数ともに2桁のマイナス成長となりました。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行によるネガティブな影響もマイナス成長の一因になりました。特に、ITバイヤーのなかには、感染防止のために在宅勤務へシフトしたことに伴い社内稟議が滞り、契約締結が遅延したり、サーバー納品検収体制が整わずサーバー搬入日を延期したりするケースなどが見られました。また、経済環境の先行き不透明感から、サーバー投資を保留したり、断念したりするケースなどが見られました。

Custom Serverは、クラウドサービスベンダー向けの出荷が堅調で、売上額はほぼ横ばい、出荷台数はプラス成長となりました。なお、Custom Serverでは、COVID-19流行によるネガティブな影響は特に見られませんでした。

寧ろ、ITバイヤーにおける在宅勤務シフトが既存システムのクラウドシフトを加速させた感もあり、クラウドサービスベンダーのサーバー投資が継続していることが、その背景にあるとIDCではみています。

メインフレームの売上額は、前年比30.4%減の487億円でした。金融、官公庁、公益、運輸などで基幹系システム更新の大型案件などがあったものの、前年の2桁プラス成長を補うほどの大型案件がなく、2020年は2桁のマイナス成長となりました。その他のサーバーは、前年比180.5%増の745億円でした。前年は2桁のマイナス成長でしたが、2020年は、ARMサーバーで、理化学研究所計算科学研究センター向けの「富岳」や、「富岳」アーキテクチャを採用したスーパーコンピュータの官公庁、文教向け大型案件があり、その他のサーバーの前年比3桁増の大幅なプラス成長を牽引しました。また、ビジネスサーバーやRISCサーバーでは、金融、官公庁、製造、ITサービス向けミッションクリティカルサーバーの更新案件などがあり、その他のサーバーのプラス成長に貢献しました。なお、メインフレームやその他のサーバーでは、COVID-19流行によるネガティブな影響は特に見られませんでした。メインフレームやその他のサーバーは、業務ニーズの観点から、基幹系やミッションクリティカル用途として、導入計画通りにサーバーが納品される必要性が高かったとIDCではみています。

「2020年の国内サーバー市場は、x86サーバーとメインフレームが、2桁のマイナス成長となったものの、その他のサーバーが3桁の大幅なプラス成長となり、サーバー市場全体のマイナス成長を下支えした。「富岳」などのスーパーコンピュータの大型案件が、その他のサーバーの高成長を牽引した」と、IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの下河邊 雅行 は述べています。

カンパニー別の売上額では、富士通が首位を維持しました(図2)。次いで、NEC、日本ヒューレット・パッカード(HPE)、デル・テクノロジーズ(Dell Technologies)、日立の順でした。売上額の順位に変動はありませんでした。出荷台数も、富士通が首位を維持しました。次いで、NEC、HPE、Dell Technologies、Lenovoの順でした。5位のLenovoは、前年から順位を1つ上げました。



注1: 「x86サーバー」は、x86アーキテクチャのプロセッサーを採用しWindows、Linuxなどオープン系のOSを搭載したサーバーです。Itaniumプロセッサーを搭載したサーバーやベンダー独自OSを搭載したサーバーはx86サーバーに含めません。また、「x86サーバー」と「メインフレーム」以外のサーバーを「その他のサーバー」として記載しています。

注2: 「富岳」の売上額は、公知の情報に基づいたIDCの推定値を計上しており、2020年は総額で約430億円と推定しています。また、出荷台数は、過去にあった「京」の出荷と同様に、売上計上単位で1台とカウントしております。「富岳」の売上計上は、2020年第1四半期および第2四半期の2回に分けて行われたと推定しており、出荷台数は合計で2台としています。なお、「富岳」は、サーバーに搭載しているプロセッサー種別から、IDCでは「ARMサーバー」に分類しています。 「ARMサーバー」は、ARMホールディングスが管理するプロセッサーを搭載しているサーバーです。

注3: x86サーバーは、Standard ServerとCustom Serverに分類されます。Standard Server とは、ベンダーが公開するカタログに掲載されたサーバーで、標準的なマザーボードや筐体をベースとしたサーバーです。Custom Serverとは、主にクラウドサービスベンダーが、ODM Directなどから調達するサーバーで、マザーボードや筐体が、特定の顧客や用途向けに設計されたサーバーです。

注4:Microsoft Windows Server 2008のサポート終了(EOS:End of Service)にともなうサーバー更新需要。特に、中小規模事業者向けのタワーサーバーの出荷が目立った。



<参考資料>

図1. 国内サーバー市場の推移: 2016年~2020年

Source: IDC Japan, 3/2021



図2. 2020年 国内サーバー市場カンパニーシェア【売上額】

Source: IDC Japan, 3/2021

Coverage