
16 May 2022
国内産業分野向け5G市場の展望を発表
Japan, 2022年5月16日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、国内産業分野向け5G市場の展望を発表しました。これによると、国内産業分野向け5G市場は、まだ初期の状況ではあるものの、着実に進展していることが分かりました。
同市場では、現在、大企業などによる実証実験や、地方の課題解決を中心とする総務省の開発実証などが行われていますが、企業の自らの予算による商用導入はまだ限定的です。その主な要因として、産業分野で画像AI分析やリアルタイム制御などを活用する高度なDXアプリケーションがまだ成熟していないこと、パブリック5Gのサービスエリアが十分に広がっていないこと、ローカル5Gの価格が高いことなどが挙げられます。
一方で、着実な進展も見られます。たとえば、ローカル5Gソリューションの価格は、急速に低下しています。NEC、NTT東日本、富士通などが、マネージドサービスやスモールスタートのためのパッケージとして、これまでよりも安価なローカル5Gソリューションの提供に乗り出しています。国内では、多くのローカル5Gベンダーが、「無線LAN並み」の低価格と運用の容易さを目指すとしており、今後数年間にわたって、ローカル5Gの価格低下が続くとIDCではみています。
5Gのユースケースに目を向けると、現時点では、高精細映像の遠隔リアルタイム中継と、機械の自律運転による省人化に関する取り組みが多く見られます。取り組みが増えている背景として、前者は、たとえば360度カメラとVRゴーグルなど最低限の機器やソフトウェアによって、新規性の高いサービスをスモールスタートできることが、挙げられます。後者は、人手不足による省人化ニーズが高まっていることに加え、主要な分野で自動運転技術がレベル4(特定条件下における完全自動運転)に達していることなどが取り組みの増加につながっています。IDCでは、今後、このようなユースケースの商用導入が比較的短期間で立ち上がるとみています。
また、5Gのユースケースは、今後約10年の間に、参考資料のロードマップのような形で大きく広がるとIDCでは予測しています。前半は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による社会活動のリモート化、ドローンや自動運転に関する規制緩和、物流業界や建設業界における残業規制の強化などが、企業の5G活用を後押しするとみています。後半は、メタバース利用の日常化、人とロボットの協働、リアルタイムデータに基づくリソース利用の最適化などへと、5Gの活用用途がさらに拡大すると考えます。
IDC Japan 株式会社 コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野 陽子 は、「通信事業者やローカル5Gベンダーは、まずは、すでに確立された技術と5Gの組み合わせによる、商用ベースの実績作りに注力すべきである。現時点では最新技術を活用した高度なDXアプリケーションの多くがまだ発展途上で、なおかつ5Gを活用できる前提で企画/設計されていないものが多い。5Gに取り組む企業は、すぐに実現可能な商用での活用事例を増やすことで、企業やベンダーのDXへの取り組みを、5Gの活用を前提とするものへと発展させていく必要がある」と述べています。
今回の発表はIDCが発行した2022 年 国内産業分野向け 5G 市場動向分析:ユースケースとベンダー戦略 にその詳細が報告されています。本調査レポートでは、国内産業分野向け5G 市場の動向と、主要ベンダーの戦略を分析しています。また、同市場における5Gユースケースの展開状況と、ユースケースへの取り組みに当たって重要となるポイントについても議論しています。
(レポートの詳細についてはIDC Japan へお問い合わせください)
<参考資料>
産業分野向け5Gユースケースのロードマップ
Source: IDC Japan, 5/2022
Coverage
Regions Covered
Topics Covered
Air interface, Augmented and virtual reality, Broadband, Cognitive/artificial intelligence, Internet of things, Networking and connectivity devices