
26 May 2022
最新の国内情報セキュリティ市場予測を発表
Japan, 2022年5月26日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、最新の国内情報セキュリティ市場予測を発表しました。
IDCでは、国内情報セキュリティ市場を、「セキュリティソフトウェア市場」「セキュリティアプライアンス市場」「セキュリティサービス市場」に分類して市場定義しています。このうち、「セキュリティソフトウェア市場」「セキュリティアプライアンス市場」を合算した市場を「情報セキュリティ製品市場」として分類しています。
2021年の情報セキュリティ製品市場は、前年比16.0%増の4,360億1,500万円になったとIDCでは推定しています。2020年初頭から継続している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、企業での働き方がオフィス勤務からリモート/在宅勤務への移行が行われ、デジタル空間上/リアルでの商取引やコミュニケーションのハイブリッド化が一気に加速しました。この結果、企業従業員や消費者が利用するエンドポイントデバイスへのフィッシングやマルウェア感染、企業システムへのセキュリティ侵害、IDの不正利用などのセキュリティリスクが高まり、現実に2021年は数多くのセキュリティインシデントが報告されました。また、オリンピックなど国内外での大規模イベントの開催やロシア・ウクライナ戦争に乗じたハッカーやサイバー犯罪集団の暗躍のような外部要因などによって、同市場では企業/消費者の両面でセキュリティに対する警戒感が高まり、エンドポイントセキュリティやアイデンティティ/デジタルトラスト、ネットワークセキュリティへのニーズが急速に高まりました。さらに、政府によるデジタル化推進や改正個人情報保護法、欧州GDPR、中国個人情報保護法の施行など、デジタル情報に対するプライバシー保護規制が国内外で強化されており、情報ガバナンス/コンプライアンス対応への機運も高まっています。
この結果、2021年の国内セキュリティソフトウェア市場は前年比17.2%増の3,703億5,000万円(売上額ベース)になったとIDCでは推定しています。同市場はセキュアなアクセスコントロールに対するアイデンティティ/デジタルトラストや高度サイバー攻撃に対するエンドポイントセキュリティ、クラウドサービスへのセキュリティに対する需要が堅調に増加し、2021年~2026年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.6%、2026年に4,637億3,900万円に拡大すると予測しています。また2021年の国内セキュリティアプライアンス市場は、前年比9.5%増、656億6,600万円(売上額ベース)になったとIDCでは推定しています。2021年の同市場は、VPN機器の成長が減速したものの、「Emotet」の活動再開による電子メールを経由したセキュリティ被害が2021年後半に再拡大しており、メッセージングセキュリティを含むコンテンツセキュリティ関連市場への需要が拡大しました。このため2021年の同市場は堅調に成長しましたが、セキュリティ投資はオンプレミスからクラウド環境へのセキュリティ対策に向けられると考えられ、国内セキュリティアプライアンス市場の2021年~2026年におけるCAGRは0.7%で、2026年には680億600万円になると予測しています。
一方、セキュリティサービス市場は、国内外の大規模イベントを狙ったサイバー攻撃によるセキュリティ被害が拡大したことによって、マネージドセキュリティサービス、教育/トレーニングサービスを中心に需要が拡大しました。特にCOVID-19の影響によるリモートワーク/在宅勤務の増加によって、クライアントPCやデバイスなどのエンドポイントデバイスに対するセキュリティ監視を行うマネージドセキュリティサービスやMDR(Managed Detection and Response)サービスの需要が拡大しました。この結果、2021年の同市場は、前年比6.9%増の2,963億2,500万円(支出額ベース)になったと推定しています。同市場はクラウド環境に対するセキュリティコンサルティングサービスやセキュリティシステム運用管理サービスへの需要が高まるとIDCではみており、2021年~2026年のCAGRは3.1%で推移し、2026年には3,445億9,800万円に拡大すると予測しています。
IDC Japan株式会社 グループディレクターの眞鍋 敬 は「市場のデジタルシフトによって、ビジネス/消費者から発生するデータが増大している。企業はデータオリエンテッドな経営を進めているが、一方でデータセキュリティ、データガバナンスの確保はサステナビリティと共に企業の社会的責任になりつつある。ITサプライヤーはユーザー企業に対して、企業のデジタルトラストをセキュリティ観点から見直す訴求を行い、企業内のセキュリティワークフローに機械学習による侵害検知などの新たなテクノロジーの適用を推進することが重要なトレンドとなる」と述べています。
今回の発表はIDCが発行した国内情報セキュリティ市場予測、 2022 年~ 2026 年 にその詳細が報告されています。本調査レポートは国内情報セキュリティの各セグメント市場の2021年の実績と2022年~2026年の予測を提供しています。
(レポートの詳細についてはIDC Japan へお問い合わせください)
<参考資料>
国内情報セキュリティ製品市場予測、2020年~2026年
(単位:百万円、売上額)
Note: 本市場予測は、2022年4月時点における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)およびロシア・ウクライナ戦争の影響および見通しを考慮したものである
Source: IDC Japan, 5/2022
Coverage
Regions Covered
Topics Covered
Governance, risk and compliance infrastructure, Information protection and control