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Publication date: 06 Feb 2023

国内デジタルツインと産業用メタバース市場の調査結果を発表

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Japan, 2023年2月6日 - IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1‐13‐5、代表取締役社長:村橋俊介、Tel代表:03-6897-3812)は、国内の産業用メタバース/デジタルツイン市場の動向の調査結果を発表しました。

2021年以降、メタバース(コンピュータやインターネット上で提供される仮想世界)が大きな注目を集めています。一方、IoT(Internet of Things)やIndustry 4.0といった分野では、長年、到達すべき実現目標としてデジタルツインが描かれてきました。デジタルツインとは、現実世界の情報をもとに仮想世界に「双子」を構築し、さまざまなシミュレーションを行うものです。世界の潮流として、デジタルツインを用いて、機械や設備が自律的に最適制御される世界を実現する動きが加速しています。最近は、デジタルツインを推進してきた一部のベンダーが、メタバースブームに乗ってデジタルツインを「産業用メタバース(Industrial Metaverse)」と言い換えるようになっています。

今回の調査の結果、国内の産業用メタバース/デジタルツイン市場は図1のようなステップで発展し、これによってより良い働き方、より高い生産性、CO2排出量の削減、安全安心な社会などを実現するということが分かりました。同市場の発展の重要な鍵となるのが、3D CAD、IoT、XR(eXtended Reality、AR/VR/MRの総称)を含む現実世界と仮想世界をデータでつなぐ技術と、仮想世界でこれらをモデル化するためのデジタルツイン基盤技術です。

近年特に重要性を増しているのが、XRによって「人」を産業用メタバース/デジタルツインに取り込むことです。その理由として主に以下の3つが挙げられます。一つ目は、人とロボットの協働の促進です。多くの産業現場では、いまだ、主な働き手は人であり、少なくとも2020年代中に目指すべき姿は、完全無人化よりも人とロボットの協働です。人を仮想世界に取り込むことで、両者の協働の促進が可能になります。二つ目の理由は、人同士のコラボレーションと働き方の改革です。人は、仮想空間に参加することで、対象物に関する直感的な評価や判断が可能になります。まだ実際のモノがない段階で異なる工程の担当者が仮想空間でコラボレーションすることによって、品質向上や手戻りの削減による生産性向上が期待できます。また、離れた場所にいる人同士が同じ場所にいる感覚で協働することも可能になります。3つ目の理由は、人の安全性や快適性の向上です。危険が多く快適でない職場には労働者は集まりません。産業用メタバース/デジタルツインを使って、危険を回避し人が快適に働けるようにすることは、人手不足解消の重要な施策になると考えられます。産業用メタバース/デジタルツインを事故防止のトレーニングに活用する動きも増加しています。

産業用メタバース/デジタルツイン技術の普及シナリオとしては、図2のような市場の広がりが考えられます。初期の主要顧客は、社内に設計と生産の両部門を有する大手製造業や大手建設業者(ゼネコン)です。この時点では市場の広がりはまだ限定的です。その後、これら初期の顧客が、産業用メタバース/デジタルツインの構築に必要なデータを、彼ら自身の顧客へと引き継ぎ、引き継いだ顧客が、自社が保有する建物やそこで使用される装置などの運用に産業用メタバース/デジタルツインを活用するようになると市場は急速に拡大します。さらに、これらを人流、交通流、物流、サプライチェーンなど広域のデジタルツインなどと組み合わせることによって、社会全体のデジタルツイン化が可能になります。このようなデジタルツイン上で高度なAIやシミュレーション機能の活用によるロボットや設備の自律的な運用を実現することで、冒頭に述べたより良い働き方、より高い生産性、CO2排出量の削減、安全安心な社会が実現するとIDCでは考えます。

IDC Japan株式会社 Infrastructure & Devices リサーチマネージャーの小野 陽子 は、「労働力不足が深刻化する中、企業は、人とロボットの協働、人同士のコレボレーションの円滑化、働く人の安全性や快適性向上などを通じて、より生産性が高くより魅力的な労働環境を模索する必要がある。産業用メタバース/デジタルツインは、そのための有効なツールとなるであろう」と述べています。

今回の発表はIDCが発行したレポート2023 年 国内デジタルツインおよび産業用メタバース市場動向 にその詳細が報告されています。本調査レポートでは、国内における産業用メタバース/デジタルツインの市場動向と、主なソリューション、市場の促進要因と阻害要因、今後の展望などについて分析しています。

(レポートの詳細についてはIDC Japan へお問い合わせください)





<参考資料>

図1: 産業用メタバース/デジタルツイン市場の発展のステップ

Source: IDC Japan, 2/2023





図2: 産業用メタバース/デジタルツイン技術の普及シナリオ

Source: IDC Japan, 2/2023





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