企業でのAIを利用したITシステム投資はもはや必然の状況になっています。特に2026年は、AIエージェントの実ビジネス適用の元年となるとIDCでは予測しており、従来のAI利用方法であった「仕事のアシスタント」からAIエージェントを実利用し、ワークフローへの組み込みによる「業務遂行のバディ(相棒)」への構造的変化の年になるとみています。
IDCが2026年3月に発表した「Worldwide AI and Generative AI Spending Guide 2026V1」では、国内AI市場支出額は2025年に2兆3,725億円から、2029年に2.9倍の6兆8,897億円に急成長し、2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR)は36.0%に達すると予測しています。このことは、AI市場が国内IT市場の重要な一画を占めるまでになることを意味しており、2029年にはIT市場全体の20%を占めるまでになります。これらのデータからも、企業でのAI投資は必然になっていると言えるでしょう。
今回IDCが発表した「Worldwide AI and Generative AI Spending Guide 2026V1」では、
以下の重要なAIシステム導入/活用のポイントを示しています。
1.AIエージェントの急成長によるAIソフトウェア市場の成長
国内では、企業での生成AIは2025年末に5割以上の企業が実利用しているものの、その利用方法(ユースケース)が例えば翻訳、要約などの一般オフィス業務の補助的役割に留まるケースが多く、十分な価値創出が得られずに試験的導入(PoC)が失敗するケースが多く見られることが判明しています。IDCの企業ユーザー調査においても、PoCにおいて期待する効果が得られなかった経験のある企業が6割に上ることが測定されています。このような背景で、導入効果が得られやすいユースケースとして、補助的な役割のAI利用から業務ワークフローの自動化/自律化へのユースケースの移行が求められます。これを実現する手段として提供が始められたAIエージェントは市場の期待を集めており、ソフトウェアベンダーによるAIエージェント向けプラットフォーム提供やアプリケーションへの組み込みが2025年から始まり、2026年から実ビジネスへの適用が急成長するとみられます。これらのAIエージェントの急成長を加味し、AIソフトウェア市場のCAGRは48.9%と予測し、AI市場全体のCAGR 36.0%と比較して成長率が大きくなると予測しています。

2.AIユースケースのCX適用拡大
AI/AIエージェントを実ビジネスに適用するためには、どの業務のどの部分に適用するかが成功のキーポイントになります。IDCが今回発表した「Worldwide AI and Generative AI Spending Guide 2026V1」では、ハードウェア/ソフトウェア/サービスのAIテクノロジー市場分類だけではなく、ユースケース別の情報も提供しています。これによると、IT運用の自動化、ソフトウェア開発へのAI適用などが成長率の高いユースケースとして予測されていますが、特に成長率の高いユースケースとして「セールス(CAGR 46.2%)」「カスタマーサービス(CAGR 42.0%)」などのCX(顧客エクスペリエンス)への適用拡大が見込まれています。これは、AI/AIエージェントが社内業務の自動化のみならず、人間とAIが協働することによって顧客やパートナーなどの対外的なリレーションを提供する「バディ」として位置づけられるようになることを意味しています。このことは、企業がAIを活用した自動化によるコスト削減ばかりではなく、顧客対応力や市場変化への対応力を強化する活用方法にユースケースを拡大していくことを示唆しています。
まとめ
2026年の国内AI市場はAI活用の変革が起こり、AIがアシスタントからバディへの変化を起こすキックオフの年と位置付けることができるでしょう。このことは、人間とAIが協働する企業運営の再定義をもたらし、AI市場加速の引き金となり、国内IT市場の主要な一画を占めることになるでしょう。
IDCが提供するデータのご紹介
IDCはAI市場に関して、継続的かつ多層的な情報を提供し、分析を行っています。
これらのデータセットを活用することで、国内およびグローバルなAI市場の加速を可視化することが可能となります。
関連する調査やご相談について
より詳細なインサイトや市場動向については、当社アナリストへお気軽にご相談ください。