Generative AI December 16, 2025 Hitoshi Ichimura

国内金融IT市場最新予測を発表~既存システム刷新などにより2029年までは市場拡大を予測、ただしユーザーIT支出の変化に注意~

IDC Japan, 2025年12月16日- IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号、代表取締役社長:村橋俊介、Tel代表:03-6897-3812)は、国内金融IT市場の最新予測データを発表しました。2026 …

IDC Japan, 2025年12月16日- IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号、代表取締役社長:村橋俊介、Tel代表:03-6897-3812)は、国内金融IT市場の最新予測データを発表しました。2026年の国内金融IT市場規模は、前年比5.7%増の3兆6,001億円、2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は7.3%、2029年の国内金融IT市場規模は4兆4,453億円と予測しています。

国内金融IT市場において、2025年は各業態でプラス成長となるとみています。その中でもメガバンク、地方銀行、生命保険、損害保険、大手証券会社などで業務系システム刷新、モダナイゼーションを目的とした大規模プロジェクトが継続しているほか、各業態の大手金融機関においてデータ基盤構築・統合を目的としたIT支出が拡大しています。加えてネット金融機関を中心とした多くの金融機関でデジタル化、デジタルビジネス推進を目的としたIT支出も積極的に行われています。なお、2026年以降も国内金融IT市場は、同様に既存システム刷新、システム基盤統合プロジェクトなどを推進する大手金融機関、並びにデジタルビジネスを積極的に推進するネット金融機関が市場を牽引することから堅調に拡大を予測しています。なお、地域金融機関では勘定系システム刷新などでIT支出を拡大させる地方銀行もありますが、地域経済停滞の長期化が見込まれるため、その他の多くの地域金融機関(第二地方銀行、信用金庫、信用組合)ではIT支出は低い成長率を予測します。

国内金融機関を取り巻く経営環境が大きく変わる中で、国内金融機関が今後生き残り、ビジネスを持続的に拡大させるために求められる成長戦略が見直されています。つまり、経済環境の変化に合わせてコンプライアンス対応、セキュリティ強化を行いながら、デジタルチャネルの強化と既存チャネルの融合、ならびに金融商品/サービス強化が求められています。これらの分野が現在の国内金融機関のIT支出重点分野となっています。更にこれらの動きをより円滑に進めるために、これらの分野と並行して既存システム刷新、モダナイゼーションプロジェクトを本格化する金融機関が増加しています。これは特にレガシーシステムを抱えた金融機関において大きな課題であり、今後のビジネス展開の障害となり得ることから、優先的に取り組みが進んでいます。

このように国内金融機関の多くで既存システム刷新、モダナイゼーションプロジェクトが本格化していますが、これらの大型プロジェクトが終息後は、デジタルビジネス関連の案件の優先度が高まり、デジタルプラットフォーム構築、Web3ビジネスの進展、BaaS(Banking as a Service)/組み込み型金融、他業態とのエコシステム構築、データ利活用を目的としたIT支出が拡大するとみています。また、これらの案件では、GenAI(生成AI)、AIエージェント、ブロックチェーン、量子コンピューターなど最新テクノロジーの採用拡大が見込まれることから、引き続き国内金融IT市場は拡大を予測します。しかし、国内金融機関の多くでデジタルビジネス分野を中心に内製化を推進、またはスタートアップ企業の採用を増やすなど従来のIT支出の傾向から変化する可能性があります。そのため、これらのデジタルビジネス関連の案件が、既存ベンダー、SIerのビジネス拡大にはつながらない可能性があるとみています。

すでに大手金融機関、ネット金融機関ではデジタルビジネス分野の案件では、内製化、スタートアップ企業の活用が進んでおり、中長期的には業態を問わず国内金融機関の多くで内製化、スタートアップ企業の採用拡大が不可避であるとみています。したがって、IDC Japan株式会社 Verticals & Cross Technologiesのシニアリサーチマネージャーの市村 仁は、「既存ベンダー、SIerは、金融機関の内製化の体制整備に向けて研修、開発運用業務サポートなどによってノウハウを提供する伴走型支援、またはスタートアップ企業との連携を強化し提供ソリューションの拡充などの取り組みが求められる。」と分析しています。

今回の発表はIDCが発行したレポートその詳細が「2025年 国内金融IT市場動向調査:「モダナイゼーション」後の金融IT市場の展望」(JPJ53860825、2025年12月発行)にて報告されています。本レポートでは、国内金融IT市場に関して、2024年~2025年の実績(2025年は推計)、並びに2026年~2029年の予測を業態別18区分、主要システム別、製品別で提供しています。また、本調査レポートでは、現在の国内金融IT市場を牽引する既存システム刷新/モダナイゼーションの動向、「モダナイゼーション後」の国内IT市場の展望、国内金融機関のIT支出重点分野、テクノロジー利用動向、支援するパートナー企業に対するニーズの変化を分析することで、国内金融IT市場でビジネス拡大するためにベンダーに求められる施策を考察しています。

(レポートの詳細についてはIDC Japanへお問い合わせください)

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