Japan, 2025年5月27日 – IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号、代表取締役社長:村橋 俊介、Tel代表:03-6897-3812)は、最新の国内セキュリティソフトウェア市場の実績と予測を発表しました。
IDCでは、セキュリティソフトウェア(パブリッククラウドサービスを含む)市場をソフトウェア市場に20ある中分類市場の1つとして扱っています。Endpoint Security Software、Identity and Access Management Software、Information and Data Security Softwareなど7つの機能市場に分類し、国内市場を含むグローバルなベンダー売上額および市場予測を「IDC Worldwide Semiannual Software Tracker 」として提供しています。2025年5月に発行した本レポートでは、グローバル売上額は2024年(2024年1月~12月)に前年同期比15.5%増の1,178億米ドルとなりました。一方、国内セキュリティソフトウェア市場は前年同期比14.6%増の5,861億100万円になったと推定しています。
IDCでは2024年の国内セキュリティソフトウェア市場は、サイバー攻撃による被害の急激な増加と、それに伴う経営者の意識変容、AI(Artificial Intelligence:人工知能)/生成AI活用の課題浮上などによって国内企業のセキュリティソフトウェアへの投資を促したとみています。2024年は特にランサムウェア攻撃による被害が多発し、情報漏洩や業務停止による経済的損失に繋がりました。攻撃手法や感染経路の分析結果から企業の情報セキュリティに対する課題がより具体的になり、投資につながったとみています。従来からの課題であるセキュリティ運用における人材やスキル不足の解決にAI/生成AIを活用する動きが現実的になり市場成長を支えました。
2024年のセキュリティソフトウェア市場のトレンドを牽引した主要な機能市場は、以下のように推移しました。
- Endpoint Point Security Software市場:前年比10.1%増、1,734億3,100万円、セキュリティソフトウェア市場の約3割を占めるこの市場は主にEDR(Endpoint Detection and Response)分野が前年比22.8%成長し市場を牽引しました。エンタープライズ層へのEDR導入は一巡しましたが、中小企業向けにEDRや運用サービス、SOCなどをパッケージ化した製品やサービスなどが堅調な成長を支えました。
- Identity and Access Management市場: 前年比15.8%増、1,125億750万円でした。ランサムウェアの実際の攻撃(データ奪取)までのステップが分析されID管理と認証、アクセス管理で機密情報を守るソリューションへのニーズが高まりました。またマルチクラウド、SaaS(Software as a Service)などの利用の増加に伴いID管理がサイロ化しライフサイクル管理やアクセス権の正当性チェックなど工数が増加していることもこの市場の成長に繋がりました。
- Security Analytics Software市場:前年比22.9%増、856億2,435万円、セキュリティ技術は高度化し専門性が増しツールは増え続けている中、個々のセキュリティツールから上がってくる様々なログ、アラート、異なるリスクレベルの理解と対応などオペレーションの煩雑化が課題となっています。これらを解決するソリューションとしてAIを使ったアラートの自動判定、自動対応などを実現するソリューションに注目が集まりました。また高度化する攻撃に対する専門的な分析と洞察を提供するThreat Intelligenceや脆弱性を突いた攻撃の多発を受け、Vulnerability Managementなどの分野がともに昨年対比40%を超える成長をしました。
IDCではセキュリティソフトウェアへの投資は引き続き同レベルで成長していくと予測しています。成長ドライバは企業の競争力を高める生成AIの活用とそれを支えるセキュリティ基盤としてのID管理と認証、アクセス管理、データセキュリティなどです。またトランプ関税の影響はICT分野において軽微にとどまると予測しており (2025年5月現在)、特にセキュリティ市場において世界情勢の緊張はサイバー攻撃への備えと対策強化を促し、結果市場成長の要因になる可能性があると捉えています。投資は継続し、国内セキュリティソフトウェア市場の2024年~2029年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は12.0%で成長、2029年には1兆307億2,700万円に達すると予測しています。
IDC Japan株式会社のSoftware リサーチマネージャーである西村 真弓 は「2024年の日本国内は大規模なセキュリティインシデント発生や、サイバー攻撃による大規模な情報漏洩をはじめ、システム障害による業務停止に追い込まれるなど甚大な被害が多発した。これらは経営者の意識変容に繋がると同時に、攻撃手法の解析が進み具体的なセキュリティ対策が進んだ。サイバー攻撃は高度化しより高速になった。またツール化され誰でも容易に攻撃が可能な状態となり攻撃アクターの裾野が広がっている。加えて直接企業を攻撃しなくとも偽情報による情報戦や影響工作などが企業の株価や風評に影響を与えるケースも無視できなくなっており、地政学リスクや、法規制、新たな技術の急激な台頭など、国内セキュリティソフトウェア市場に与える変動要因は、いずれも市場の成長を底上げする可能性がある。
ユーザー企業は最新のサイバー攻撃の状況や自社のリスクを把握し、常にリスクに備え運用していく必要がある。攻撃に備える対策の優先順位を見極め、スピーディかつ効率的に投資すると同時に、限られたリソースを適切に配分し、自動化を取り入れセキュリティの運用の効率化を図り正常な状態を保つ事が必要である。その上でデジタルトランスフォーメーション(DX)化やデータドリブン経営、AI/生成AI活用などビジネス競争力を高めていくことが望ましい」と述べています。
今回の発表はIDCが2025年5月に発行した「IDC Worldwide Semiannual Software Tracker 」にその詳細が報告されています。本データ製品は日本を含むグローバルな9つの地域におけるソフトウェア/パブリッククラウドサービス市場の2024年までのベンダー売上額実績と2025年~2029年の市場予測を提供しています。
セキュリティソフトウェア市場は上記ソフトウェア/パブリッククラウドサービス市場の中分類市場の1つとして扱っています。
本製品の詳細についてはIDC Japan(報道関係者様 、左記以外の皆様 )へお問い合わせください。
<参考資料>
国内セキュリティソフトウェア市場 予測、2024年~2029年(単位:億円)

IDC イベント/ウェビナー情報
2025年5月29日オンラインで開催。最新のIDCのIT市場データから、日本国内でのIT支出の現状と予測、および米政府による関税政策の国内企業のIT投資意欲への影響について解説します。
2025年6月11日日経ホールで開催。「『AIワールド』に向けたビジネスの変革」テーマにIDCアナリストの幅広い調査に基づくインサイトに加え、本年では特にAIがどのように産業を変革してビジネス戦略を再構築していくのかを、現実に則した視点で紹介します。
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