国内クラウド市場では、クラウドに移行しやすいシステム(たとえば、Webシステム、パッケージアプリケーションソフトウェアを活用したシステム)のクラウドマイグレーション(従来型ITからクラウドへの移行)は、ピークを過ぎたものの、レガシーマイグレーションやスクラッチ開発したシステムのクラウドマイグレーションの本格化しています。また、急拡大するAI(Artificial Intelligence:人工知能)の需要に対応するために、サービスプロバイダーによる大型投資が見られます。これらのことから、2024年の国内クラウド市場は29.2%増の9兆7,084億円となりました。
現在、ユーザー企業のクラウドの導入/利用は、アプリケーション/ワークロードのシステム特性を基準としてクラウドを選択する「適材適所」の方針の下で進んでいます。このような中、今後の国内クラウド市場の成長を牽引する配備モデルはパブリッククラウドとなります。パブリッククラウドは、生成AIなどの新しい機能の実装が早く、企業のデジタル戦略に大きな影響を与えているためです。
他方、プライベートクラウドも高い成長を継続します。プライベートクラウドは、過去資産の継承性と柔軟性に優れており、基幹系システムの移行先として導入が進んできました。この傾向は、今後も変わることはないものの、サイロ型の導入から、ハイブリッドクラウドの一部として利用が進むとIDCはみています。この背景には、統合管理によるガバナンスやセキュリティの強化、コストの最適化に加えて、新しい技術の活用が進むことがあります。また、プライベートクラウド、特にホステッドプライベートクラウド(HPC)は、データ主権だけではなく、運用主権を含めたデジタル主権を実現するクラウド環境(ソブリンクラウド)へと発展しています。
現在、Generative AI(生成AI)の発展に促されるように、企業のデジタルビジネスに対する関心はますます高まっています。そして、クラウドがデジタルビジネスを支える基盤であるとの認識も浸透しました。一方、デジタルビジネスを実践するためには、企業はガバナンスを強化する必要があります。「ベンダーは、IT視点だけではなく、業務や産業知見を集約して、ガバナンスの強化を支援するコンサルティングサービスを提供する必要がある」と、IDC Japan株式会社 Software & Servicesのリサーチディレクターである松本 聡 は述べています。
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内クラウド市場予測、2025年~2029年 」にその詳細が報告されています。本レポートでは、国内クラウド市場の概況や動向を分析し、配備モデル/セグメント別に2025年~2029年までの市場予測をまとめています。
(レポートの詳細についてはIDC Japanへお問い合わせください)
<参考資料>

Notes:
- 国内クラウド市場は、ユーザー企業およびサービスプロバイダー向けの売上
- HPC/Local Cloudは、IT資産(リソース)はサービスプロバイダーが所有し、個別企業/企業グループあるいはコミュニティ(メンバーシップ制)に属する企業グループに対してサービス(as a Service)を提供するプライベートクラウド
- EPC(エンタープライズプライベートクラウド)は、IT(リソース)資産はITバイヤー(ユーザー企業)が所有し、個別企業/企業グループ内で専有し利用するプライベートクラウド